J. H. Heller

こちらの記事では今年最初で最期の投稿になりそうです。
オルゴールメーカの歴史資料などはたくさん翻訳してありますので、来年はもう少し頻繁に記事にしていきたいと思います。

工房の最新情報などはフェイスブックの方にも記載していますので、是非ご覧ください。
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J. H. Heller (ジェイ・エイチ・ヘラー)
1870年頃設立された品質の高さで有名なスイス、ベルンに本社があったミュージック・ボックス・メーカー。品質の高さを保つため、オルゴール発祥の地であるサン・クロアや、オベルソンから機械職人を引き抜いたことで知られている。1907年に生産を中止するまで小型の宝石箱やケーキスタンド等に仕込む小さな機械から、オルガン付きのオーケストリオンを含む大型の機械を扱うに至った。

ヘラー

参考文献
The Musical Box Handbook, Graham Webb
The History of the Musical Box and of Mechanical Music, Alfred Chapuis

鉄メロ

今年の春からひっそりと弊社で販売しているオルゴールがあります。
「鉄メロ」と勝手に名付けていますが、実に興味深い事実がそこにはありました。
一度もこのページで紹介した事が無かったので、少し紹介します。
鉄道に乗って旅をしていると、車掌さんが車内放送をする前に流れるメロディがあるのをご存知ですか。
あまりにも自然な為にほとんど意識する事がないかもしれませんが、実は結構いろんなメロディが流れています。
新幹線でも「いい日旅立ち」や「アンビシャスジャパン」などが車内放送の前後に放送されています。
現在流されているメロディはほとんどが電子音なのですが、一昔前にブルートレインやその他の特急列車などで使用されていたメロディは実は本物のオルゴールが使われていたんですね。現在でも極々一部の列車で本物のオルゴールを聴くことができるようです。
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オルゴールというボタンがあります。
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上の機械のオルゴール部分。
上の機械にはハイケンスのセレナーデという曲のオルゴールが搭載されています。
主に客車で使用されていたようです。
このメロディが非常に心地よく、鉄道ファン以外の方にも是非聞いて頂きたいという思いから、なんとか商品化できないかなと考え始めました。その後JRさんやメーカーさんに問い合わせたところ国鉄時代の機械である為ほとんど情報が残っていないという事が見えてきました。
そこで、写真にある機械を演奏できる状態まで修理して音を取り出し、新たなオルゴールのムーブメントを製作するに至る訳ですが、商品化までにはたくさんの方たちのご協力を頂きました。
もう一度お礼申し上げます。ありがとうございました。
手軽にメロディを楽しんでもらえる様に手回しのオルゴールにした物を「木箱」というシリーズに、オリジナルのボタン仕様の雰囲気を楽しんでもらえる様に「鉄箱」というシリーズで車内メロディのオルゴールを作っています。鉄道の車内で流れるメロディという事で「鉄メロ」と勝手に呼んでます。
「ハイケンスのセレナーデ」は春から販売していますが、今回「アルプスの牧場」という曲を「木箱」シリーズに追加しました。曲目を追加するにあたって予想外の苦労があったのですが、それはまた次の機会に紹介したいと思います。
次は「鉄道唱歌」かな?
長くアンティークのオルゴールの修復に携わっていますが、
まだまだオルゴールの世界には知らない事がたくさんあるんだな、と気づかされた出来事でした。
機械についてもう少し詳しく弊社の商品紹介ページに記載しています。
「鉄メロ」紹介ページ
ご購入はこちらから、
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フランソワ・ミシェル コンション

本日はアンティークシリンダーオルゴールはニコル・フレールだけではないですよ、シリーズ続編です。
スイスにはたくさんのシリンダーオルゴールメーカーが存在した事はコレクターや博物館等でよく説明されます。では実際にどのくらいのメーカーが存在したのか。正直なところ私も把握していません。オルゴールに関するいろいろな資料からこつこつと情報を整理していけばある程度は具体的な数字が見えてくるのかもしれません。
今回のコンションというオルゴールメーカーに関する情報の文中にもありますが、オルゴール発祥のサン・クロアだけでなくジュネーブにもたくさんのメーカーがあった事が伺い知れます。たくさんのメーカーが近所や隣同士に工場を構えていたり、戦後の日本のバイクメーカーのような感じだったのかもしれませんね。
現在でも同じ地名が存在するので、こちらにGoogleMapのリンクをしておきます。別の窓で地図を見ながら、こんなところでオルゴールをつくってたんだなぁと思いを馳せながら、お楽しみ下さい。湖の近くのいい場所にあったみたいですね。縮尺によっては琵琶湖のある大津市のようにも見えます。
コンション社があったと思われる場所。(←クリック)

Conchon, François Michel
コンション、フランソワ ミシェル 1837-1913 フランスに生まれる。1869年にジュネーブで結婚をしているので1860年代にはジュネーブに移り住んでいたと思われる。1867年にはオルゴール関係の事業に従事していたと思われるが、1868年2月の商工会議所の名簿にはオルゴールメーカーとして彼の名前が登記されていないため、自営ではなかった事がわかる。1874年の名簿にはオルゴール製作会社として初めて登録されている。また、その数年後には50人の労働者との申告がある。その頃コンション社の宣伝文句の一つとしてオルゴールに関するすべてのパーツを製作する会社と謳っていた。彼の工場はPlace des Alpes と rue des Pâquisの角に位置していたため、工場の住所は2 rue des Pâquisである事が多かったが、ときに9 Place des Alpesであったりもした。アラード・サンドスやブレモンもPlace des Alpesに工場が存在した。コンション社はケープタウン(1877)、パリ(1878)、チューリッヒ(1883)、そしてジュネーブ(1986)を含む数多くの博覧会で賞を受賞した。コンションは数多くの質の高いオルゴールを製作したが、珍しいタイプも多く製作している。「オーケストラ ボックス」「ハープ エオリネ」「サブライム ハーモニー」「ポリタイプ」等あるが、特に珍しくもあり、素晴らしいオルゴールである1878年パリに展示出品した「ヘリコイダル」は、ウイリアムテル序曲全編を演奏可能で、10から11分間途切れる事なく演奏する。コンション社のトレードマークは、丸の中に竪琴と星のロゴに「Star Works」の文字である。ガバナーブラケットには2つの楕円が逆ハの字に配置され上部中央に3つの点、楕円の中にはイニシャルであるF.C.が向かって左側、竪琴が右側に刻印されている事がよくある。コーム(櫛歯)には真鍮のベース部品の手前側にフルネームと調律スケールの番号が刻印されている。コンション社は他のメーカーにもコームを部品として供給していたので、明らにコンション製ではないシリンダーオルゴールのコームに彼の名前が刻印されている事もある。
The Musical Box Handbook
Volume 1 Cylindere Boxes p.208
by Graham Webb

いかがでしたか、文中に「ヘリコイダル」というオルゴールを製作したと、ありましたがこれは、シリンダーのピンが螺旋状に配置され、シリンダーオルゴール特有の曲を変換する際の無音状態が無く演奏を続ける事ができる機能です。私もウィリアムテル序曲全編を一気に聞いた事がありますがとても聞き応えがあります。こういった試行錯誤を繰り返しながらすばらしいものを作り上げていった時代を想像するだけでも楽しいですよね。
戦後のバイクメーカーのようであるという意味が少しお分かり頂けますでしょうか。部品だけを供給していたメーカーがあった事がこの資料からもわかりますし、ケースだけをつくっていたメーカーもたくさんあった様で、同じオルゴールのケースなのにムーブメントは違うメーカーということも何度か確認した事があります。
残念ながら、コンションのオルゴールは現在弊社で在庫していません。また入荷しましたらホームページでお知らせ致します。何度か入荷した事がありますので、昔の写真資料を探してみましたが、刻印の写真などを見つける事ができませんでした。見つけ次第このページに追加しておきます。
Enokiya Music Boxes取扱商品

メルモフレール 第3話

さて、今回で「Encyclopedia…」からのメルモフレールのシリンダーについての歴史についての最終話となります。
今回も1895年のメルモフレール社のカタログからの抜粋が主な内容ですが、更に仕様についての詳しい説明と、数々の独創的な機能についての説明があります。
機能についての説明の部分には解りやすいように、写真を追加しています。
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チューンシート上のメルモフレールのロゴ
1816年と記入されていますね。

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メルモフレール 第2話

2月は逃げるとはよく言ったもので、あっという間に3月になってしまいましたね。更新も1ヶ月出来ないままでした。
メルモフレールについての記事が長い間第1話で止まっていましたが、ようやく第2話の始まりです。
今回は前回の予告通り、メルモフレールのシリンダーオルゴールに関する仕様が主な内容です。
Bower氏が1895年当時のメルモフレールのカタログから抜粋していますので、ご一読ください。
ではどうぞ

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メルモフレール 第1話

前回の記事から少し時間が経ってしまいましたが、今回もシリンダーオルゴールのメーカーについて紹介したいと思います。
メルモフレールというスイスのメーカーなのですが、やはりこのメーカーも前述のニコルフレールに負けず劣らず、すばらしいオルゴールがたくさん残っています。修理のために分解してもこのメーカーの機械は興味深い構造のものがたくさんあります。後にディスクオルゴールの分野にも進出し、シリンダーオルゴールのみを制作していたメーカーが衰退していく中、ディスクオルゴールでもStellaやMiraといった名機を生み出しています。コレクターの間ではディスクオルゴールの機械はスイス製、筐体は米国製ということが浸透していますが、シリンダーオルゴールの頃からもそのような生産形態を取っていたようです。
作業の合間に記事を書いてるため、翻訳に少し時間がかかりそうなので、数日に分けて掲載していきたいと思います。
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メルモフレールのロゴの刻印
曲番号インジケータに刻印されていることが多い。
まずは、工房設立の頃からのおはなしです。

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新年あけましておめでとうございます。

本年もどうぞ宜しく御願いいたします。
昨年からスタートしました、榎屋のホームページですが今年はさらに内容を充実させていきます。昨年から引き続きオルゴールや自動演奏楽器に関する、すこしマニアックな情報や販売に関する情報ももちろんですが、普段はあまり表には出てこない、修復に関する情報もどんどん掲載していく予定です。
さて、2007年最初の記事はシリンダーオルゴールのブレモンというメーカーについてお話しします。
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ガバナーブラケットにあるブレモン社の刻印

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ニコル フレール

今日はシリンダーオルゴールのニコルフレールについて少し書いてみます。
nicole_bed.jpg
ベッドプレートの刻印
シリンダーオルゴールとは、ニコルフレールとは、なんぞや、という方はGoogleやYahooで検索してみてください。たくさん解説がでてきます。ちょっと無責任ですが、こちらではもう少し突っ込んだ内容を書いていきますのでご了承を。
コレクターの間では評価の高いオルゴールメーカーですが、その成り立ちには諸説ありますので、海外の書籍から抜粋して紹介します。
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