SP盤とオルゴール

Bornad_music

弊社ではアンティークオルゴールを中心に様々な商品を取り扱っています。蓄音機で使用するSP盤もそのひとつで、輸入盤を中心に常時500タイトルくらいは在庫しています。今回はSP盤とオルゴールの意外な繋がりからとても面白いことがわかりましたので興味のある方は是非ご一読ください。

SP盤の在庫整理をしていたところおもしろいSP盤がでてきました。写真のSP盤は実際のオルゴールの演奏を録音したものなのですが、このSP盤のレーベル会社としてクレジットされているBornand Music Box Record Co.という名称が気になったので少し調べてみました。
海外からのオルゴールの仕入れの際、Bornand Collectionというキーワードを聞くことがあります。オルゴールについて記載されている書籍にも良く登場するコレクションですので、オルゴールに携わる方は馴染みのある名前だと思います。私は影響力のあるディーラーくらいの感覚でいたのですが、調べて行くにしたがってアンティークオルゴールの世界ではとても重要な家系であることが解ってきました。Bornandの日本語表記については様々な読み方があると思いますがここではボルナンとさせて頂きます。

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ボルナン・コレクションについて

1860年頃オルゴール発祥の地としても有名なスイス、サンクロアにて時計及びオルゴールの職人として活躍していたアドリアン・ボルナンがいた。その甥であるジョセフ・ボルナンが1883年にパイヤール氏などと共に米国に移民する事となる。ジョセフは既にスイスでオルゴール職人として活動していたため米国に移民した際にボルナン・インコーポレイテッドというオルゴールの製作を行う会社をマンハッタンから北東に位置するペルハムに設立する。ジョセフはオルゴールの機能の向上に多大な影響を与え、交換式シリンダーオルゴールの機能に関する特許等も取得している。

ジョセフには3人の子供がいたが、第2子であるアドリアン(叔父と同じ読み)がオルゴールの職人としてジョセフの後を継ぎ、同じペルハムにボルナン・ミュージック・ボックス・カンパニーを設立する。既にオルゴールの黄金期は終わっていたが、腕の良い修復家として既に流通していたオルゴールの修理を中心に活動した。1949年(1951年とも言われている)のアドリアンの死後、彼の妻であったルースが会社を引き継ぎオルゴールを録音したレコードレーベルの設立、スイスから小型オルゴールの輸入、オリジナルグッズの販売など、1970年代にはカリフォルニアに支社を持つ程に成長した。
また、アドリアン/ルース夫妻は現在でも活動の続く国際オルゴール協会の設立メンバーでもあった。

オルゴール関連書籍には必ず名前が掲載されているといっても良いボルナン・コレクションであるがアドリアン/ルース夫妻によって集められた様々なオルゴールは貴重な資料としても有名なコレクションである。

Adrian Bornand : 活動期1860年頃
Joseph Bornand:1873-1940
Adrien Bornand:1902-1949(1951)
Ruth Bornand:1901-2000

参考資料:
Encyclopedia of Automatic Musical Instruments, David Bowers
History of the Musical Box and of Mechanical Music, Alfred Chapuis
The Musical Box Handbook: Vol 1: Cylinder Boxes, Graham Webb
The Musical Box: A Guide for Collectors, Arthur W. J. G. Ord-Hume

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現在でもオルゴールを録音したCDなどが多く販売されていますが、SP盤の時代にもこのようなものが存在したことは、いつの世も手軽にオルゴールの音楽を手軽に楽しみたいと考える人がいたのだなと思うと、とても興味深いですね。