メルモフレール 第2話

2月は逃げるとはよく言ったもので、あっという間に3月になってしまいましたね。更新も1ヶ月出来ないままでした。
メルモフレールについての記事が長い間第1話で止まっていましたが、ようやく第2話の始まりです。
今回は前回の予告通り、メルモフレールのシリンダーオルゴールに関する仕様が主な内容です。
Bower氏が1895年当時のメルモフレールのカタログから抜粋していますので、ご一読ください。
ではどうぞ


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1895年のメルモフレールのカタログのまえがきに同工房のオルゴールの形式と詳細な説明書きがある:
『どんな時代でも高尚で気持ちを高揚させる音楽の力は評価されてきました。どんな野蛮な人からとても洗練された人であっても音楽の魅力から逃れる事は出来ません。音楽は人々の生活にとってとても重要であり、それ無しではどんな教養も完全ではありません。しかし、ピアノやその他の楽器を人に聞かせる事のできるレベルまで上達するにはどれだけの時間とお金がかかるでしょうか。このような多忙な時代にどれだけの人が音楽の上達に時間を費やせるでしょう。
上達に費やす時間を回避するために、家庭で手軽にすばらしい演奏を再現できる楽器の発明に、先人達が行く年もの時を費やしてきました。
たくさんの楽器や装置が発明されていく中、我が社の販売しているIdeal Music Boxほど満足のいく楽器があったでしょうか。どんな人でもこの楽器を初めて聞いたとき、特に高級なモデルはその力強く甘い音色、そして複雑な楽曲であっても完璧に澄んだ音色に驚きます。つまり私達は自信を持ってこのすばらしい自動演奏楽器の音楽を楽しんでいただけると確信しています。
私達のオルゴールはこのカタログに掲載されている物だけではありません、この他にも私どもの本社において様々なスタイルやサイズのオルゴールを体験していただけます。
すべての注文に対しても、他の信用できる企業のように処理していますので、世界最大の在庫の中からきっと満足の行くオルゴールを選んでいただけます。
全てのメールオーダーのお客様に対しても迅速そして慎重に対応致しております。オルゴールを初めて購入されるお客様でも、私どもにお任せいただければご予算に見合ったオルゴールをお勧め致しますので、ご満足いただけることを保証致します。
このカタログをご覧いただくにあたり、特に注目をしていただきたい事があります。旧型のオルゴールのように限られた曲目しか演奏できない方式が、我々の発明した方式により何曲でも演奏が可能になりました。1本につき6曲収録した交換式シリンダーです。*3この方式では順々に違う曲を演奏する事も同じ曲を何度も演奏する事が可能です。これらのシリンダーには様々なサイズがあります。幅が7 1/2インチから25インチまで(約19cmから63.5cm)直径で2インチから3 1/2インチまで(約5cmから9cm)。
一曲の長さはシリンダーの直径に比例して長くなります、さらにシリンダーの長さが長いほど櫛歯の数が増え、ボリュームやバリエーションは比例して広がります。*4
私どもの交換式シリンダーオルゴールは2つのグループに分かれています。「Ideal」と「Peerless」です。
「Peerless」は廉価版オルゴールでゼンマイの香箱が1つのタイプです。そして「Ideal」には最新の技術を使い2つのゼンマイを搭載しています。両方の機械とも高級な材料を使用して、最新のアメリカ製の工業機械で製作しているので、同じスタイルの機械はコーム以外全て互換性があります。ケースはローズウッド製の物以外は全て米国製で、長期間シーズニングした材料に手彫りを施し、塗装を施してあります。[著者コメント:メルモフレールを製作する機械は米国製であったが、オルゴール自体は一部のケースをのぞいて、ほとんどがスイス製であった。今では考えにくい事だが、当時米国では外国製品に対する恐怖症に近い感情があったため、メルモ・フレールの米国内配布資料にはスイス製である事が全く明記されていなかった。]
さらに「Ideal」「Peerless」とも常にオペラ、最新のヒット曲、バラード、賛美歌、等、交換用のシリンダーを在庫しています。そして、特別注文も承っております。お客様が望むどのような楽曲も2から3ヶ月でご用意できます。
*3Interchangeable Cylinder
*4ボリュームは同じ音のコームを複数持つ事で大きくなる。
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いかがでしたでしょうか。
文中の[ ]著者コメントというのはBower氏によるコメントです。外国製品に対する不信感、又は脅威というのは変化しつつも現在の日本にも当てはまりそうですね。更に前半の宣伝文句は100年以上前のものとは思えません。今でもそのまま使えそうな内容です。世紀末とは常に忙しないものなのでしょうか。
第1話でも少し話題にあがっていましたが、メルモフレールが如何に独創的な会社であったか、片鱗が見えます。
次回、第3話はシリンダーオルゴールメーカーとしてのメルモフレールの最終話になります。メルモフレール社が発明した様々な機能についての紹介が盛りだくさんですので、ご期待ください。
メルモフレール第3話

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